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クローズアップ現代「追跡!マンション修繕工事の闇 狙われるあなたの積立金」


テスト的にNHKサイト(クローズアップ現代)から部分コピーしたものです。

正しくはNHKオリジナルサイトにて閲覧ください。

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2017年10月19日(木)
追跡!マンション修繕工事の闇 狙われるあなたの積立金

追跡!マンション修繕工事の闇 狙われるあなたの積立金

コツコツためた、あなたの積立金が知らぬ間に奪われているかもしれない…分譲マンションで行われる大規模修繕工事。そのウラ側で悪質な設計コンサルタントが工事業者に巨額のバックマージンを要求、住民に損害を与えているケースがあるという。事態を重く見た国が注意喚起を行うなど、問題は広がりを見せている。マンション老朽化時代、修繕待ったなしの物件が急増する中、多くの人が被害に遭っている可能性も?対策を考える。

出演者

  • 山岡淳一郎さん (ノンフィクション作家)
  • 武田真一・田中泉 (キャスター)

あなたのマンションも? 狙われる修繕積立金

「現金ですね。領収書のない現金お渡しします。あの人ら、うまいこと考えてますよ。お金の取り方、上手です。」
私たちがマンションを修繕するためにためている積立金が悪徳業者に狙われているといいます。
マンション住民
「許せないですね。マンションを食い物にしてる。」

マンション住民
「ちょろまかすというか、完全になめきってますよね。」

悪質な設計コンサルタントが裏金を工事業者に要求。住民の修繕積立金を不当に奪い取っているというのです。
元設計コンサルタント
「お客さんは素人ばっかり。そこが一番狙い目。」

事態を重く見た国も、今年(2017年)に入って「通知」を出し、注意を呼びかけています。
国土交通省 担当者
「管理組合(住民)の利益と相互する立場に立つ。設計コンサルタントが発注に関与することのないように、十分に意識をしていただく必要がある。」

「マンション老朽化時代」に入り、大規模修繕工事は急増。多くの人々が被害に遭っているおそれがあります。不適切とされる業者の実態に迫るとともに、身を守るための対策も考えます。
田中:分譲マンションでは、十数年に一度「大規模修繕工事」が行われます。工事の内容は、外壁補修、防水対策、塗装など、マンションごとにさまざまです。しかし、どんな工事が必要なのか、住民は分かりませんよね。そこで、一般的に「設計コンサルタント」が住民に代わって修繕計画を立てるなど、工事を主導します。コンサルは「工事業者」を入札で選び、発注をしたり、工事が適切に行われているか監理・検査をしたりと、重要な役割を担います。今回、問題になっているのは、この大規模修繕の裏側で悪質なコンサルが工事業者に巨額のバックマージンを要求し、工事費を不適切な形でつり上げる場合があるというものです。その規模は、例えば修繕工事に3億円かかった場合、3,000万円〜6,000万円に及ぶこともあるそうです。

一体何が起きているのか。トラブルの詳しい実態に迫るため、複数の関係者に取材すると、驚きの事実が浮かび上がってきました。

追跡!マンション修繕工事の闇 関係者が語る“不適切”なカネ

修繕積立金を狙う手口とは、どのようなものなのか。トラブルに巻き込まれた住民が、匿名で取材に応じてくれました。マンションは築13年、およそ180世帯。それは初めての大規模修繕を控えた2年前のことでした。
マンション住民
「彼ら(コンサル)は、いかに修繕積立金から吸い上げるか考えている。」

住民でつくる管理組合は、設計コンサルタントA社と契約しました。しかし、A社が示した工事費用の概算を見て、住民はぎょっとします。3億6,000万円。余裕を持ってためていたはずの積立金、目いっぱいの額でした。
マンション住民
「ここまで金額が膨らんでしまうんだというのは驚いて、積立金がちょうどそのぐらいたまっていたんですね、組合の修繕積立金が。そこも何となくおかしいなとは感じてたんですけど。ちょうどぴったり使い切るぐらいで予算を組んでる感じはしましたね。」

住民らは、別の建築士に見積もりを依頼。すると、A社より1億円以上安い、2億5,000万円で済むという結果が出ました。住民らは、A社を介さずに直接工事業者と話を進める事にしました。すると、A社から内容証明郵便が届きます。「施工業者の選定に関与できないのであれば、業務を辞退する」と、一方的に告げるものだったといいます。
この不可解な事態の背景には何があるのか。かつて、あるコンサルタント会社で働いていた社員は、業界に広がる不適切な金の流れを指摘します。
元設計コンサルタント
「住民は知識がなく無知だから、そこが一番狙い目。」

元社員によると、悪質なコンサルタントは、まず格安のコンサル料を餌に住民と契約。工事費を見積もります。次に入札を行い、安い工事業者を選んだように見せかけます。住民は工事業者に代金を支払いますが、実はそこにコンサルへのバックマージンが含まれているというのです。コンサルは、取り分を増やすために見積もり額を目いっぱいつり上げているといいます。
元設計コンサルタント
「管理組合がいくら積立金を持っているか、当然握っております。その金額を使い切るほど、リベート(バックマージン)は増えますから、なるべく工事種目は増やします。お客さんは素人ばっかり。『これをやらなかったら大変ですよ』と言われたら、従うしか、一般の住民はないわけですね。」

一方、工事業者には、バックマージンを支払わざるを得ない理由があるといいます。関西の元工事業者が取材に応じました。
元工事業者
「(バックマージンを)払わなかった場合は、業界の中の各会社に『あそこの会社は、リベート(バックマージン)を出さない会社やから』、他の設計事務所にも言うわけですよ。当然その会社も、他のコンサルさん、設計事務所さんからも出入り出来なくなりますし、取り引きも出来なくなりまし、入札すら参加させていただけないし。」

元工事業者によると、入札に参加する業者はコンサルの裁量で集められます。入札額は、業者間での相談の上で、高値のままで維持。
受注する業者は工事ごとに持ち回りで決まるというのです。その際、バックマージンの額は工事総額の平均で10%。多い時は20%に及ぶといいます。
元工事業者
「(コンサルから)電話がかかってくるんですよ。どこどこの2億円の現場が決まったからって、自分のところにやってもらうから。それを上手にして、(入札額を)2億円ちょいにしてくれとかね。(マージンの)パーセンテージを、先生なんぼにしたらよろしいですか言うたら、今回はちょっと金額大きいから、9パーセントにしようかとか。」

「バックマージンは、ありましたか?」
元工事業者
「僕のやった現場は、すべてあったと思います。思うというか、ありましたけどね。」

バックマージンで損害を与えられた上、「手抜き工事」までされたと訴えるケースもあります。
築26年、およそ20世帯のマンションでは、去年(2016年)2回目の大規模修繕を行いました。住民が匿名で取材に応じてくれました。管理組合は、格安の設計コンサルB社と契約。すると、工事費用はここでも積立金とほぼ同額の4,000万円近くに上りました。問題は、それだけではありませんでした。
マンション住民
「工事が終わったという説明もないし、ちょっと待ってと、まだうちのベランダのタイルも浮いてるし。」

工事の内容に疑念を抱いた住民は、別の建築士に検査を依頼します。すると、外壁などに次々と工事の不備が発覚。タイルのひび割れや剥がれなど、判明しただけでも40か所以上もあったのです。その後、住民たちは工事業者にやり直しを求めましたが、一部の補修工事にしか応じませんでした。
マンション住民
「バカにしてますね。完全にバカにしたやり方です。ひどいやり方をなさったなと。」

ずさんな工事が行われた背景には何があるのか。元工事業者によると、業界では、コンサルによる工事の検査が甘くなっている実態があるといいます。
元工事業者
「(コンサルの)先生からご指摘受けて是正したと出すわけです、格好だけね。検査でも(現場に)行ったことにして、適当に作って書いて、指摘あげたことにして。」

また、バックマージンを取られる工事業者の側も、利益確保のために手を抜きがちだといいます。
元工事業者
「施工業者としたら、利益をもうちょい欲しいわけです。塗装や防水剤を、本当は3回塗らなあかんところを、2回にしたり1回にしたりというやり方で(コンサルに)了解していただく。」

「罪悪感とかないんですか?」
元工事業者
「慣れてきてはるんちゃいます。それが普通なんですって。それが普通、この業界の普通なんです。」

追跡!マンション修繕工事の闇 トラブルの実態は?

ゲスト 山岡淳一郎さん(ノンフィクション作家)

VTRに出てきたコンサルタントを行うA社、B社に取材を申し込んだところ、A社は「国の通知を受け、業界として適正化について協議をしているところであり、現時点では意見を述べる立場にない」と回答。B社は「指摘された事実はない」と否定しています。

田中:修繕工事で広がっているというバックマージン。しかし、「法的責任を問うのは難しい」と専門家は指摘します。マンション問題に詳しい弁護士によりますと、「住民の側に立つべきコンサルが義務を果たさずに損害を与えた場合は損害賠償を請求できる」そうです。また、「コンサルが『故意』に損害を与えたことが証明されれば、背任罪に問われる可能性がある」そうです。ただし、手抜きを見逃したことや、裏でバックマージンを受け取ったことを立証しなければならず、実際は不正を告発するのは簡単ではないといいます。また、公正取引委員会によりますと、入札に関し、「事前に特定の業者の間で話し合い、価格競争を制限した場合は独占禁止法違反にあたる」といいます。ただしこの場合、罪に問われるのは工事業者のみ。入札を主導するコンサルタントは対象外となるといいます。

長年、マンション問題を取材してこられた、ジャーナリストの山岡淳一郎さん。
業者は「これが普通だ」と言っていたが、どのくらいこういった状況が広がっている?

山岡さん:私もずいぶん、それは取材して業界の人たちにも聞くんですが、なかなかその数字というかですね、何割いってるというようなことに関して、彼らは口を濁すんですね。ということは、逆に言うと、相当見えない範囲でこれが広がっているなと。私の実感では、やはり透明にやっている業者の方が少ないのではないかなというような感じがしていますね。

なぜ、こういう状況になっている?背景には何がある?

山岡さん:これは、実は建築の市場の問題とも大きく関わってまして、バブル崩壊以降、新築の住宅の数がぐっと減りました。それまで一級建築士というのは新築専門で造っていたんですね。しかし、そこでだんだん仕事が少なくなって、そして、マンションの改修業界に入ってくると。ところが、それは言ってみれば、隙間みたいな形で成り立ったものですから、自分がやった仕事に対して、いくらのお金が適正かというような、そういう基準というのはなかったんですね。曖昧な状態でマーケットだけが広がってきて、こういうことになっている。とにかく安く請けてバックマージンで稼ぐというような、こういう形になっているんでしょうね。

それがどういう経緯で表面化してきた?

山岡さん:これは、去年の11月なんですけれども、このリフォーム関係の業界が、いわば内部告発的に「こういう実態があるんだ」ということをオープンにしたんですね。それを受けて国土交通省は、今までの国交省の対応よりも異例の早さで、今年の1月に「こういう状況が起きている。これは是正しなければいけない」ということを通達で出したんですね。そのことによってメディアも、この大規模修繕の裏のリベートの問題というのをいろいろ書いたり、放送したりするようになりまして、そこからぐうっと広がってきたと。

これまで水面下に潜っていたのは、なぜ?

山岡さん:一番大きいのは、やはりマンションに住んでいる方々が無関心・無知だということで、自分たちがひょっとしたら、ある意味では収奪されているんだけれども、そのことに関して、個別で点のような形でトラブルは起きていたんだけれども、全体的な情報共有というのがなかなかされなかった。これが大きいんじゃないかなと思います。

マンションの管理会社を通して工事を促される、勧められることが多いと思うが、管理会社は大丈夫なのか?

山岡さん:いや、その頼りの管理会社が、中には、やはり自分がコンサルタント的な役割をして、全体をコントロールして、バックマージンをというような形もあったり、あるいはコンサルタントを指定したりとか、場合によっては自分の息のかかっていない工事業者が、その仕事を取った場合に「ここは、うちの管理してる物件だから、あなた方は場所代を出しなさいよ」と。
(場所代?)
言ってみれば、通行料のようなものですね。そして、工事料金の5%とか、10%を取っていたという、こういうケースもありました。

マンション業界に広がる、こうした根深い問題に対して、私たちはどう対抗していけばいいんでしょうか。ヒントになる取り組みを取材しました。

マンション修繕工事の闇 トラブルから身を守るには?

バックマージンを一切取らないと宣言する設計コンサルタントがあると聞き、取材に向かいました。会社を設立して18年になる、須藤桂一さん。
設計コンサルタント会社代表 須藤桂一さん
「こういう音なんだけど、本来は。浮いてると。」

バックマージンを受け取った場合、報酬の3倍の罰則金を住民に払うことを契約書に盛り込んでいます。
須藤さんが悪質コンサルを見抜くポイントの1つに挙げるのが「入札の透明性」です。悪質なコンサルは、工事の入札に不自然な参加条件をつけることがあるといいます。裏で協力する会社だけを集める狙いがあるためです。
設計コンサルタント会社代表 須藤桂一さん
「例えば、この(規模の)マンションの大規模修繕工事で、資本金1億円以上。どう見ても、おかしいです。2千万とか3千万の(小さな)工事でも、資本金1億円以上とか。ほとんどの工事会社が見積もり参加できない、そんな仕組みになってます。」

須藤さんの会社では、入札の条件を一切設けていません。大手の会社から中小の工務店まで、のべ200社以上で競争入札を行うため、健全な価格競争が生まれ、工事費も大幅に下がるといいます。
そしてもう1つ、悪質なコンサルから身を守るカギは住民自身にあると、須藤さんは訴えます。実は、この日取材にお邪魔したスタッフも、大規模修繕を半年後に控えていました。
「工事会社も決まっちゃってるんですよ。」
設計コンサルタント会社代表 須藤桂一さん
「設計事務所どこですか?」

「分からないです。」
設計コンサルタント会社代表 須藤桂一さん
「管理会社どこですか?」

「いや、それも。来てるんですけど、ちょっと忙しくて。」
設計コンサルタント会社代表 須藤桂一さん
「一番の問題点は無関心ですよ。もう無関心じゃだめ。管理会社、設計事務所、工事会社がどこか。住民一人ひとりが、1世帯100万円ぐらい出すわけですからね。自分ちだと思って見てもらう。おかしいと思ったら声を出すというころをやらないと、そのまんま行っちゃいますよ。」

実際、住民が主体となることで、大規模修繕を成功させたマンションもあります。
京都市内にある築34年、185世帯のマンションでは、既に2回の大規模修繕を終えました。管理組合の理事、能登恒彦さんです。
能登さんは、初めての大規模修繕の際に、有志の住民を募って、修繕委員会を立ち上げます。しかし当初、住民の多くは無関心でした。
マンション管理組合理事 能登恒彦さん
「こういう工事をやるんだけども、いろんな意見がある方は、どんどんこう来てください。みんな、集まって来ないんですよね。」

そうした中、多くの住民を巻き込むことに成功した秘けつは、古くなったものを直す「修繕」から、より住みよいものにする「改修」への意識改革でした。能登さんたちは、建築士を招いて勉強会を開き、住民から「住みたいマンション」のアイデアを募りました。
雨で滑りやすかった入り口のタイルは全て張り替え。玄関は、車椅子でも通れるスロープに。自動扉も設置しました。更に、災害に備えた井戸水の給水所を全フロアに設置。住民の希望が形に変わっていく中で、積極的に参加する人が次々と現れてきたといいます。
マンション管理組合理事 能登恒彦さん
「下がったものを元に戻すんじゃなくて、更に上げるんだという気持ちです。キーワードは、楽しもうと、いいものを作ろう。楽しむこと、いいと思えるものを作っていこうということが、最終的には意識を変えていったんじゃないか。」

マンション修繕工事の闇 トラブルから身を守るには?

田中:では、トラブルから身を守るためにはどうすればいいんでしょうか。複数の現役コンサルタントや弁護士などへの取材から対策をまとめました。
まず、安いコンサル料には要注意。コンサルを選ぶ際に、複数からの見積もり「あいみつ」を取ってみて、契約料金が極端に安いところは怪しい業者の可能性があるため、避けた方がいいそうです。そして、金額の目安を知っておくこと。工事内容にもよりますが、修繕工事の見積もり金額が1戸当たり150万円を超える場合は高すぎる可能性があるので、セカンドオピニオンを求めた方がいいそうです。また、国土交通省が紹介する相談窓口を利用する方法もあります。住宅リフォーム・紛争処理センター、マンション管理センターです。連絡先は、ご覧のとおりです。

入札業者に条件をつけることは、良くないこと?

山岡さん:これは「1億円の資本金がなければ入札できない」というのは、これはちょっと現実的ではないなと思いますが、しかしやっぱり住民自身は、その工事業者がそれまでにどういうふうな工事をしてきたのか、どういうふうな経験を積んできたというのは、できるだけ入札前に集めた方がいいんじゃないかなと思いますね。

業界では、どんな対策を打ち出している?

山岡さん:工事業者の団体がこの4月から、この適正化に向けた協議会を作りまして、今、議論を重ねて、ちょうどこの11月にもその指針が出てくるということになっています。そこには2つポイントがありまして、1つは、これまで改修専門の一級建築士の全国的な団体というのがなかったんですね。これを何とか作る方向に持っていこうと。そして、その団体ができたことによって、自分たちで内部規律というか、これをしっかりさせる。できれば、その団体には管理組合の側に立つんだと。自分たちは、住民の側に立つんだというような宣言もしてほしいなと、私は思っているんですが。もう1つが、やはりその業務に関わる報酬がいくらなのかという基準を何とか作ろうとしている。国交省も、大規模なアンケートを取りまして、どういう工事にはいくらかかったかという、今、集めたんですが、実はその内容が非常に大きな差があって、かなりバラバラなんですね。なので、ここから基準を紡いでいくというのは、かなり大変なのかなとも思いますね。

マンションの住民は、この改修の問題にどう向き合っていけばいい?

山岡さん:VTRにもありますが、やはりその改修・改築というのを自分たちに課せられた、何かこう十字架のように捉えるのではなくて、むしろ面白がる、楽しがるというような、つまり改修することによって、住環境というのはものすごく変わってくるわけですね。私が取材したあるマンションは、大阪のマンションなんですが、自分たちで住民が主導で、もう2回大規模修繕をやりました。工事業者も全部自分たちで決めて、最終的にここの住民たちは、最上階に露天風呂を作りたいと、そんなことまで言って、みんなでまとまってやっている、そういうふうなマンションもあります。そういうふうな意識の持ち方で、かなりこの修繕に関しての取り組み方というのは変わってくるのではないかなというような感じがしています。

こうしたトラブル、マンション管理をつい他人に任せてしまいがちな私たちの姿勢につけ込まれてきた面もあるということが分かりました。自分たちの住まいをどう良くしていくか、住民自らが考えることが、結果的にトラブルから身を守ることにつながるんだと思います。

クローズアップ現代「“魂の殺人” 性暴力・無罪判決の波紋」


テスト的にNHKサイト(クローズアップ現代)から部分コピーしたものです。

正しくはNHKオリジナルサイトにて閲覧ください。





2019年5月16日(木)
“魂の殺人” 性暴力・無罪判決の波紋

“魂の殺人” 性暴力・無罪判決の波紋

今年3月、名古屋地裁岡崎支部が出した判決に波紋が広がっている。19歳だった娘への性的暴行の罪に問われた父親に無罪が言い渡されたのだ。背景にあるのが、刑法で定められた犯罪の要件。2年前の法改正の前に議論されたが要件は改正されず、性犯罪被害の当事者などからは、「実態とあっていない」という批判があがっていた。番組では、法改正について議論した法律家などメンバー12人に緊急アンケートを実施。今回の判決をどう受け止めているのか聞くとともに、「魂の殺人」と言われる性暴力被害者の声を伝える。

出演者

  • 山本潤さん (実父からの性暴力被害者、一般社団法人Spring代表理事)
  • 宮田桂子さん (弁護士・「性犯罪の罰則に関する検討会」委員)
  • 武田真一 (キャスター) 、 合原明子 (アナウンサー)

同意していないのになぜ?焦点となったのは…

武田:実の娘に性的暴行をした罪に問われた父親に言い渡された無罪判決。大きな波紋が広がっています。
番組の中で、性被害に遭われた方が気分が悪くなるような場面があるかもしれません。あらかじめお伝えします。
義理の父親に幼いころから性暴力を受け続けたという女性です。
「幼稚園ぐらいの時に、父が覆いかぶさってきて、目の前に父の顔が来たところでパッと記憶が真っ暗になって。父親と二人きりになって、もう固まっちゃうような恐怖感。」
繰り返される暴力の中で、抵抗する意思さえ奪われたといいます。
「父親の気持ちを損ねないように、父親が気持ちがいいように存在しているのが、私の普通だった。それが身を守るすべ、生きていくすべだった。」
性暴力に反対するデモ
「私たちは黙りません。黙りません。」
「これは本当に許しがたいことです。」

今、性暴力に対する怒りの声が各地に広がっています。きっかけは、今年3月に出されたある判決でした。実の娘に性的暴行をした罪に問われた父親に対する裁判。娘が性交に同意していなかったとしながらも、無罪を言い渡したのです。
合原:望まない性行為を強いられていたにもかかわらず無罪となった今回の判決。根拠となったのが、刑法が定める「抗拒不能(こうきょふのう)」という要件でした。
「被害者が抵抗できない心理状態」を意味する「抗拒不能」。判決では、「必ずしも抵抗できない状態だったとは認められない」と判断したのです。日本の刑法では、今回のような性暴力が有罪になる要件として、「同意がないこと」、そして「抗拒不能」の2つが必要とされています。海外では、同意がないだけで罪に問える国もある中で、なぜ、日本は「抗拒不能」を要件としているのか?NHKは、かつて撤廃の議論を行ったメンバーにアンケートを実施。判決をどのように受け止めるのか、性暴力に司法はどう向き合うべきか、尋ねました。
武田:今日は「抗拒不能」の要件は必要だという弁護士の宮田桂子さん。そして、父親から性暴力を受けた経験があり、要件の撤廃を求める山本潤さんと共に考えます。

同意していないのになぜ? “抗拒不能”めぐり…

名古屋地裁 岡崎支部で開かれた裁判。父親が、平成29年の8月と9月、当時19歳だった娘に、自分の勤め先やホテルで性的暴行をした罪に問われました。父親の弁護士は、「娘は同意していて抵抗できない状態ではなかった」と主張。
一方、検察は、「父親の立場を利用して、娘が抵抗できないことにつけ込み、行為に及んだ」と主張しました。
裁判では、今回の事件に至るまで、娘が父親に支配されていく過程が明らかになりました。殴る蹴るの暴行は、小学生のころから始まり、中学2年からは、性交を強いられるようになりました。「やめて」と言ったり、服を脱がされないように押さえたりしましたが、望まぬ性交は頻繁に繰り返されました。高校卒業後は、学費や生活費を返すよう父親に求められたことで、経済的な負い目を感じるようになり、さらに追い詰められていきました。
合原:今回の裁判を担当した、鵜飼祐充裁判長。判決の中で、娘が同意していなかったことは認定しました。しかし、刑法の要件をもとに、娘が抵抗できない状態だったかどうかについて、厳格に判断したのです。
裁判長の判断は、どのようなものだったのか。
裁判の判断理由
「事件の前に、大きなあざができるほどの暴行はあったものの、性交を受け入れざるをえないほどの恐怖を感じさせるものではなかった。」

さらに…。
裁判の判断理由
「弟や友人に被害について相談したり、一人暮らしを検討していたことなどから考えると、父親に逆らうことがまったくできない心理状態だったとは言えない。したがって、父親の強い支配による従属関係にあったとは言いがたく、心理的に著しく抵抗できない状態だったとは認められない。」

こうして無罪を言い渡したのです。

“実態わかっていない” 現場からの叫び

今、無罪判決に対する波紋が広がっています。名古屋市内の病院にある性暴力被害者のための支援センターです。
電話:「出血するようなことがあって、ということですね。」
専門の看護師やソーシャルワーカー、医師、支援員たちが24時間、相談に対応しています。
相談に来た女性
「怖くて、次の日、全然動けなくなっちゃって。」

この日行われた会議では、無罪判決に対して、疑問の声が相次ぎました。
性暴力救援センター 日赤なごや なごみ 片岡笑美子センター長
「これ(判決)を聞いて『父親は子どもに性的なことをしていいのか?』って、逆に認めている感じが受け取られた。」

「いまの(社会)背景をおさえた上での判決とは全く感じられなかった。」
「同じことが繰り返されるような気がして、不安な部分がある。」
実は性暴力は、上下関係につけこまれて起きるケースが少なくないといいます。このセンターが過去3年間に対応した253件のケースです。父親や祖父などの親族。職場の上司や学校の教師など、上下関係にある人からの被害はおよそ3割に上っています。
20代の女性のケースです。就職活動中に被害に遭いました。加害者は、内定している企業の60代の経営者。ほかの社員もいた食事会の後、部屋に連れ込まれ、突然「服を脱げ」と怒鳴られました。女性は恐怖のあまり、言われるがまま、性交を強いられました。
合原:上下関係があると、なかなか抵抗しづらい。
性暴力救援センター 日赤なごや なごみ 片岡笑美子センター長
「力関係があるから(嫌だと)言うことで、仕事を辞めなければいけないのではないか、そのあとの人間関係が悪くなったらどうしようとか、そういうことをすごく皆さん感じる。」

このセンターでは、無罪判決が出たことで、声を上げても無駄だと感じ、諦めてしまう被害者が増えることを懸念しています。
性暴力救援センター 日赤なごや なごみ 片岡笑美子センター長
「『じゃあ、どういうものが有罪になるの?』というのが本当の気持ち。長期的な被害を受けたにもかかわらず、それが無罪になる。(相談する方も)『無罪?もう相談できない』と受けとめられると困る。」

1つの無罪判決が呼んだ、大きな波紋。「抗拒不能」の要件、あなたはどう考えますか?

なぜ無罪に?判断の分かれ目 “抵抗”とは

ゲスト 山本潤さん(実父からの性暴力被害者、一般社団法人Spring代表理事)
ゲスト 宮田桂子さん(弁護士・「性犯罪の罰則に関する検討会」元委員)
武田:性暴力被害の当事者として、山本さんは、今回の判決をどういうふうに受け止めていらっしゃいますか?
山本さん:12歳から性的な被害を受けながら、そして、父が娘に同意のない性交をしたということが裁判で認められながら無罪になったことは、本当にありえないことだと思っています。このようなことは、社会が決して許してはいけないことではないでしょうか。
武田:VTRの中で、「ほかの被害者の方が相談に行けなくなるんじゃないか」「声を上げられなくなるんじゃないか」という声もありました。この判決の影響は大きいと考えますか?
山本さん:私のようなケースでは言ってはいけないのではないか、すごく冷たく扱われてしまうのではないか、そのように思う方はとても多いと思います。
武田:VTRの中で、「子どもに性暴力をすることを認めているような印象を受ける」という声もありました。この判決をどう見ればいいんでしょうか?
宮田さん:そもそも刑事裁判の判決というのは、この人に刑罰を与えるのが妥当か、この人は有罪か無罪か、そして与える刑はどんなものかを決めるものです。そして、刑罰という、ものすごく大きな制裁を与えるものですから、国が「この人は真っ黒だ」ということを立証しなければなりません。ですから、灰色であるという場合も無罪になるんです。道徳的に正しいから無罪になるとか、そういうものではなく、検察官が裁判官に「これは黒だ」ということを印象づけることができなかったから無罪になるんです。
武田:つまり、今回の事件で父親が行ったことを、裁判で認めたというわけでは必ずしもない。
宮田さん:行為は正しいと認めたのではない。罰することができないという判断があったと思います。
合原:日本の刑法で性暴力が有罪になる要件は、大きく言いますと、こちらの2つになります。1つ目が「同意がない」。そしてもう1つが「抗拒不能」つまり、抵抗するのが著しく困難な状態だったことです。
この抵抗できない状態にさせる手段というのが、「暴行・脅迫」、あるいは「酒や薬」、そして「精神的な支配」によるものなんです。
武田:今回のケースは「精神的な支配」に当たるわけですね。
合原:ちなみに海外ではどうかと言いますと、抵抗できない状態かどうかを問わずに、同意がなかったことだけで罪に問える国もあります。例えばイギリス、カナダ、そしてドイツやスウェーデンでも、最近、法律が改正されました。
武田:今回の裁判所の判断は、「同意がない」という要件については認めました。一方で、「抗拒不能」の要件を認めずに無罪となったわけですけれども、こうした要件を求める今の司法の在り方を、被害者の皆さんはどういう思いを持つのでしょうか?
山本さん:先ほど宮田さんがおっしゃったように、罰することができないということですね。今回も「同意がない」ことは認められた。しかし、抵抗できる状態だったのにしなかったというふうに言われてしまったわけです。そう言われることは、被害者にとっては、司法から「あなたは被害者ではない」と否定されるように感じて、とてもショックなものです。どうして抵抗できなかったことを証明する必要があるのか。「同意がない」ということで、海外のように罪に問えるようにしてほしいと思います。
武田:そもそも、抵抗すること自体とても難しいことなのではないかと思うのですが、なぜ、こうした要件があるんでしょうか?
合原:それは、「確実に同意がなかったと言えるケースだけを処罰するため」とされています。もし、この要件がない場合、宮田さんは次のような問題が起きる恐れがあると指摘しています。1つ目が「えん罪」。例えば、同意の有無だけが問題になりますと、その時は同意をしていたのに、あとになって被害者が「同意していなかった」と訴えた場合、えん罪の恐れが生まれるということなんです。
武田:だから、この「抗拒不能」という要件が必要だと。宮田さん、これはどういうことなんでしょうか?
宮田さん:「抗拒不能」の要件というよりも、同意そのものがかなり厳しく証明されなくてはいけないという部分も含めてなのですけれども。性犯罪の被害者として被害を申告する人の中には、例えば、自分のパートナーに、ほかの人との性関係がばれてしまった、あるいは、その人との関係を解消したくなったということで性被害を訴え出ているケースもあります。ですから、同意がなかったと言っている人が、そう言っているというだけで処罰される場合には、えん罪が生まれる可能性がある。そこでスクリーニングをしていく作業は必要になります。
武田:虚偽の申告じゃないというスクリーニングをしていく必要があると。
宮田さん:しかも、抵抗できない状態だという要件を加えることによって、「誰が見ても、これは犯罪行為だ」というコンセンサスというか、皆さんからの了解が得られる。「社会から見ても、これは非難すべき行為だ」と言えるということです。
合原:そして理由の2つ目が、「犯罪の立証が難しくなる」。被害者の「同意していなかった」という証言だけでは十分な証拠になりません。例えば、暴行や脅迫を受けていた、あるいは精神的な支配を受けていたことを証明すれば、同意がなかったことを示しやすくなるということなんです。
武田:「抵抗できない状態である」という要件があるからこそ、同意の有無を証明しやすくなるとは、どういうことなんでしょうか?
宮田さん:「同意がない」と被害者の方がおっしゃっているだけでは、証明にはならないというふうに海外の国々でも扱われています。つまり、さまざまな事情から、その方どうしの関係であるとか、性行為に至る経緯であるとか、さまざまな状況から、同意があったかどうかが判断されるんです。「同意がなかった」という主張を、検察官が的確に組み立てることができなければ、無罪になってしまうということです。つまり、検察官の選択肢がものすごく広がるということのために、かえって、裁判を維持していくことが難しくなる可能性があります。
武田:抵抗できない状態かどうかという要件がなくなると、検察官が、それとは違う何かで事実を組み立てていかなくてはいけなくなる。
宮田さん:その通りです。「誰から見てもこの人は同意がなかったと言えるでしょう」ということを言わなければならないということです。
武田:ということなんですが、山本さんはどういうふうにお感じになりますか?
山本さん:えん罪というのは、決して起こってはいけないことで、それは殺人であろうが、性犯罪であろうが変わりはないと思います。その時に、適切に捜査がされたとか、事実認定が正しくされたとか、そういうことが問題なのであって、同意がない性行為が性犯罪になるというルールが作られたからといって、えん罪が増えるというのは、論理としておかしいのではないかなと思います。あと、同意ということについてなんですけれども、やはり性行為に至る過程というのは、確実に立証していかなければいけないもので、どういう状況でその行為が行われたのか、そして、それが同意のあるものなのか、ないものなのかというのは、事実認定を正しくする必要があると思います。その時に、海外では、性暴力をどのように判断するのかにおいては、同意の有無と、相手との対等性の有無、上下関係があると、そこで「イエス」と言わざるをえないような状況もありますし、また、そこで強制性があったかなかったかということを見ながら、同意の有無を判断していくことになります。
武田:同意があるかないかということだけでも、ちゃんと2人の間の関係性などを細かく見ていけば、それは立証が可能だということですね。
山本さん:対等な関係であるのかということですよね。性暴力が行われる現場では、やはり対等でない関係があるからこそ、被害者を下として、言うことを聞かせて、物のように扱うことができるということがあります。
合原:抵抗できない状態という要件については、2年前の刑法改正の議論の際、撤廃を求める声もありましたが残されました。改めて実態に合わせて改正を求める声が上がっています。

“抵抗などできない” 被害者の訴え

今週、山本さんたち被害者の団体が、法務省などを訪れ、要望書を提出しました。
その中で抗拒不能の要件について撤廃を含めた見直しを要望。抵抗できたように見える状況でも、抵抗できない場合があると訴えました。支配関係の中で起きる性暴力。そもそも抵抗する意思さえ奪われるのだと言う女性が取材に応えてくれました。40代のユミさん(仮名)。義理の父親から長い間性暴力を受けてきたといいます。
合原:いつごろから?
ユミさん
「幼稚園ぐらいの時に、父が布団に入ってくるところまで覚えてるんです。『ああ父が迫ってくるな…』までは覚えてるんですけど、その後は真っ暗で何も覚えてないです。」

日常的な暴力や暴言によって、ユミさんは逆らえない意識を植え付けられていきました。
ユミさん
「(父に)『俺はお前の何なんだ?』って言われたことがあって、殴られてる最中に。『お父さんです』って言った時に『違う。俺はお前の教育者だ』って言ったんです。」

合原:抵抗しようと試みたとか、そういう記憶も?
ユミさん
「ないです。もう抵抗…、父に対して抵抗というのはもうないですね。もう、浮かばない。」

4人家族だったユミさん。逆らうことで家庭が崩壊してしまうのではないかという恐れも抵抗できない理由の1つでした。
ユミさん
「父親の気持ちを損ねないように、父親が気持ちがいいように存在してるのが私の普通だった。それが身を守るすべ、生きていくすべだったので。」

ユミさんは性暴力を受けている間、自分の心と体の感覚を閉ざすようになっていたといいます。ユミさんのカウンセリングを担当している専門家は、こうした反応は、強いショックや恐怖から身を守るためのもので、性暴力被害者の多くに起きることだといいます。それが、他人からは相手の行為を受け入れていると誤解されてしまうのだと指摘します。
女性と子どものライフケア研究所代表 長江美代子さん
「あまりにつらいので意識を切り離す。体と心を切り離す。痛みもよくわからないとか、被害に遭っているときに、被害に遭っている自分を上から眺めている自分がいたり、嫌な思いをせず短い時間で(被害に)耐えられるように頑張っている。その方法を使って、頑張って生き延びるわけなんです。」

つらい記憶を20年以上封印し続けたユミさん。PTSDと診断され、今も働くことができません。
合原:どういうことを、いちばん伝えたいですか?
ユミさん
「いちばん身近な身内がそんなひどいことをする所で育っていて、そういう被害に遭ったら、どういう状態になるのかというのを、もっと人間というものを知ってほしいなと思います。」

被害者が訴える刑法の見直し。このあとスタジオで考えます。

刑法改正 必要か?不要か?

合原:実は来年(2020年)刑法改正から3年になるタイミングで、見直しが必要かどうか議論される見通しです。こちらの方々が、前回の改正の際に議論をした法務省の検討会のメンバーなんですが、改めて、改正が必要と考えるかどうか、アンケートを行いました。
そのうち、宮田さんを含む6人から回答がありました。このうちの4人は、今も「抗拒不能」の要件は「存続すべき」と回答しました。
先ほどの議論にあったような、えん罪の可能性などを踏まえた上で、「裁判官や捜査機関の教育によって、適切に対応できるはず」「裁判所は『抗拒不能』という言葉の意味を広く解釈しており、そうした運用に任せるべきだ」。つまり、裁判官が適切に判断しているということなんです。
一方、2人が「抗拒不能」の要件は「撤廃すべきだ」と回答しました。
その理由として、「こういう判決が出ている以上、個々の裁判官の判断に委ねるのは問題がある」「抵抗することができないという、精神医学や心理学の知見を踏まえてほしい」と挙げています。
武田:刑法をもう一度見直すべきかどうかについて、「裁判所は『抗拒不能』を幅広く解釈している」とありましたが、これはどういうことでしょうか?
宮田さん:先ほど、「支配関係のある方が抵抗できない」「被害者はそういうような例がある」ということがVTRで紹介されていましたが、例えば、医師と患者、あるいは宗教者と信者の関係であるとか、あるいは就職をさせてやると言っている人であるとか、あるいは親に嫌われると思って関係に及んだり、先生に逆らえないと思って関係に及んだ例についても、実は幅広く「抗拒不能」の要件の中に含めている。
武田:そういう事例があるわけですか?
宮田さん:あるんです。
武田:今回の一件は認められなかったけれども、実は、ほかの事例では幅広く認められていると。
山本さん、いかがですか?
山本さん:このような無罪判決が出ながら、このまま存続の状態でいいと法律家の方が思っていること自体、私にはよく理解ができないです。
武田:理解できないとは?
山本さん:納得できないですし、言ってみたら、この状態でいいと言われてるように感じて、とても苦しいですね。
武田:今回の判決は大きな波紋を呼んでいますが、ほかにはたくさん、そうじゃない例があるんだということですが、この1件だからこのままでいいと考えるのか、1件でもあってはならないと考えるのか、宮田さんはどう思われますか?
宮田さん:この事件はまだ地裁の判決なんです。検察官は控訴しました。まだ高裁や最高裁の判断があります。これが本当に不当な結果になるのかどうかというのも、被害者の目から見た不当な結果になるのかどうかもまだ分からないと思います。
武田:もう少し見極める必要があるということですね。

これ以上被害者を生まないために

武田:傷ついた被害者を救い、あるいはこれ以上、被害者を生まないために何が必要なのかを2人に書いていただきました。ひと言ずつご覧いただこうと思いますが、まずは宮田さん、「刑法の改正よりも、まだやることがある」。
宮田さん:刑法の中では救われない被害者がいます。証拠がないとか、さまざまな形で。ですから、被害者対策はもっと別な形のもの、被害者の生活支援などももっと図られるべきだと思います。
武田:そして山本さんは、「まずは法改正を」ということですね。
山本さん:やはり、このような判決が出ないためにルールを見直していく必要があると思います。そして、性暴力を受けた被害者が、性犯罪として認められるような日本になってもらいたいと思っています。
武田:宮田さんは、そのためにも被害者の支援策の充実とか…。
宮田さん:そうですね。むしろ性教育とか、社会の常識が変わらなければ、裁判官は、「これは同意がある」と考えてしまうということです。
性暴力被害にあい、苦しんでいるあなたへ。あなたはひとりではありません。 各都道府県に置かれているワンストップ支援センターの一覧です。

クローズアップ現代「刑務所が“ついの住みか”に!? ~おひとりさまが危ない~」


テスト的にNHKサイト(クローズアップ現代)から部分コピーしたものです。

正しくはNHKオリジナルサイトにて閲覧ください。





2019年5月21日(火)
刑務所が“ついの住みか”に!? ~おひとりさまが危ない~

刑務所が“ついの住みか”に!? ~おひとりさまが危ない~

ひとり暮らしの高齢者が増え続ける中、貧困・孤立・認知症などを抱え、万引きなどの犯罪を繰り返し、刑務所が居場所になってしまう人が目立って増えている。とりわけ、男性よりも寿命が長く、ひとり暮らしの数も男性の2倍という高齢女性が深刻だ。刑務所、そして出所後の高齢者の密着ルポからその実態に迫る。

出演者

  • 村木厚子さん (津田塾大学客員教授)
  • 浜井浩一さん (龍谷大学法学部教授)
  • 武田真一 (キャスター)

密着取材!増える高齢の“おひとりさま”

武田:刑務所で今、一見、介護施設のような光景が広がっています。増えているのがおひとりさまの高齢女性。刑務所の密着取材から女性たちが置かれている厳しい現実が見えてきました。
認知症のリハビリを受けている76歳の女性です。
この女性は2度目の服役。3年前の前回、刑務所で認知症と診断されました。
介護福祉士
「今日は何曜日?」

女性
「水曜日。」

介護福祉士
「残念でした。火曜日です。」

今、万引きなどを繰り返し、何度も服役する高齢女性が増えています。頼れる家族のいない一人暮らしの高齢女性たち。介護などの支援も受けられずに孤立し、再び罪を犯すことを止められない人が増えているのです。
刑務官
「2回も3回も見ると、やっぱり悲しくなるというか、またかって思っちゃう部分はあります。もう刑務所に来ないようにと思って、毎日接してます。」

おひとりさまの女性たちにとって、刑務所がついの住みかに成りかねない。今、そんな事態が広がっています。

密着取材!高齢の“おひとりさま” なぜ急増?

360人余りの女性が服役している、この刑務所。5人に1人が65歳以上で、日常生活に支えが必要な人も少なくありません。
毎日全員が行う体操の時間。座り込んでしまったのは冒頭で認知症のリハビリを受けていた女性です。
刑務官は、体操ができない女性を連れ出しました。
認知症など、高齢の受刑者は、集団行動が難しい人も多く、刑務官は特別な対応を取らざるをえないといいます。
介護福祉士
「7から6引く。」

認知症の症状が進行した女性は、今では簡単な計算もできなくなっています。
介護福祉士
「あぁ、違うな。」

70歳を過ぎてから、食料品など、日用品を万引きするようになり、何度も逮捕された、この女性。72歳の時、執行猶予中に再び万引きをして逮捕され、1年ほど服役することになりました。
女性
「悪いことをしてしまいました。ぬいぐるみをとりました。」

認知症と診断されたのは1度目の服役の時。出所した後、僅か6日の間に万引きや置き引きを繰り返し、刑務所に戻ってきてしまいました。
笠松刑務所 駒井刑務官
「最初に入所したときより、認知症が進んだかなって思うのも、毎日見てているので、今回で最後になればいいなって思う。」

日中、受刑者たちには刑務作業が義務づけられています。しかし、女性は認知症もあり、ほかの受刑者と同じ作業につくことはできなくなっています。刑務作業の時間は何かさせないといけないため、簡単な作業を探して、手を動かしてもらうことを優先しているといいます。
笠松刑務所 駒井刑務官
「手足のリハビリだとかを兼ねて作業をやらせているつもり。受刑するっていう意味がなくなると、やっぱり困ると思うんです。」

食事の時間も、女性には特別な対応が取られています。ほかの受刑者とは離れた席に座っていました。以前、人の食べ物に手を出し、トラブルになったことがあるからだといいます。
デパートの店員や、化粧品の販売員をしながら2人の子どもを育ててきた、この女性。夫を亡くし、子どもと疎遠になった老後、頼れる家族はいません。
女性
「私は1人で自分のうちにおります。つらかったです。情けなくて泣きました。」

出所の日が近づいている女性。これ以上、罪を繰り返さないために、刑務所では身の回りの世話をしてもらえる福祉施設を探すことにしています。
おひとりさまの犯罪が増えている背景には、単身世帯の急増があります。一人暮らしの高齢女性の数は男性の2倍。400万人を上回ります。女性は男性よりも長寿で、離婚や未婚も増加しているため、今後も増え続けると予測されています。
高齢女性の犯罪を見ると、70歳以上の場合、82.5%が万引き。さらに、置き引きなども加えると、9割以上を窃盗が占めることが分かっています。

“おひとりさま” なぜ窃盗を繰り返す?

この日、刑務所を出所したばかりの女性。85歳の田中さん(仮名)です。上品なたたずまいや、服装に気遣う様子からは、万引きを繰り返したとは思えません。
田中さんは、出所者を支援する団体のスタッフに付き添われ、かつて住んでいた場所に向かいました。認知症の診断を受けている田中さん。窃盗を繰り返し、1年半服役していました。
「ここでしょ?」
田中さん
「あぁ、そうですね。」

「そこでお弁当もらったんでしょ?」
田中さん
「万引きした。お手伝いした。そこ(スーパー)で知り合った人のお手伝いをした。」

服役するまで住んでいた家は荒れ果てていました。
「家の中は全然変わらないでしょ?」
田中さんにとっては2年ぶりのわが家です。
「屋根が崩れている。」
老朽化した家は住むことができる状態ではなく、片づけを終えたら、いずれ処分せざるを得ません。長年、スナックで働きながら1人で生きてきた田中さん。部屋中に飾られたぬいぐるみは、かつて自分で集めたものだといいます。
近所付き合いもなく、訪ねてくる友人もいないため、認知症の症状に気付いてくれる人はいませんでした。
「茶わんがいっぱい…、冷蔵庫に。こんなの初めて見ました。」
「認知症特有のアルツハイマー型の特徴。」
部屋には金庫もありましたが、長年使っていなかったため、開きません。業者に頼んで、ようやく開けることができました。
中に入っていたのは大切にしていたアクセサリー。そして、預金通帳。老後、年金がなかった田中さんは、預金を取り崩して生活していました。しかし6年前、残高は381円に減っていました。認知症で孤立を深め、経済的に困窮していた田中さん。
田中さん
「嫌んなっちゃったな。」

しかし、本人がSOSを発することはなく、支援を受けられないまま、万引きを繰り返していたのです。
田中さん
「悲しくなっちゃったな。」

孤立・生活不安…高齢の“おひとりさま”に何が

ゲスト 村木厚子さん(津田塾大学客員教授)
ゲスト 浜井浩一さん(龍谷大学法学部教授)
武田:罪を犯した人とはいえ、ごく普通の人に見えますよね。本当に同情を禁じえない思いがします。村木さんは、どうご覧になりましたか?
村木さん:普通に暮らしていた人が刑務所にいる。自分たちの暮らしの、人生の延長線にそういうことが起こりうるということが、とてもよく分かりました。
武田:村木さんは、各地の刑務所をご覧になったり、ご自身も勾留された経験がありますけれども、どんな様子なんでしょう?
村木さん:刑務所のことを知らないと、あそこには怖い人、悪い人がいるというイメージですよね。でも、実際に見ると、高齢者の方がたくさんいらっしゃるし、明らかにこの人は障害があるなという方もいらっしゃったりして、私が、福祉の分野でよく言う「生きづらさを抱えた人」とか「困窮している人」という人たちと、ものすごく重なっている気がします。
武田:これは万引きをした高齢女性の背景となった事情を調査したものなんですが、中でも多いのが「心身の問題」、それから「近親者の病気・死去」「家族と疎遠・身寄りがない」「収入減」。
村木さんは、この背景となる事情をどうご覧になりますか?
村木さん:福祉分野で「困っている人」というのには共通点が2つあると言われているんですが、1つは「いろんな課題が重なっている」。例えば「困窮してる」「経済的に苦しい」ことと「病気が重なる」とか、あるいは「自分の大事な家族が亡くなる」「離別をする」というような「困難が重なる」ということ。もう1つは「社会から孤立をしている」ことが共通点だと言われているんですけれど、この調査結果を見てもよく分かりますね。
武田:これは、万引きをした高齢女性の動機についての調査です。複数回答で「節約」が最も多く、「自己使用・費消目的」「盗み癖」「生活困窮」というふうに続いています。
浜井さんは、ここからはどんなことが見えてくると思いますか?
浜井さん:ここでは「節約」という言葉が使われていますけれど、その背景を、さらに詳しく聞いていくと、「生活に対する不安」があるんです。そういった生活に対する不安感、安心感の乏しさから、少しでもっていうところで万引きをしてしまう。それが「節約」という言葉に表れているんです。
村木さん:若い時にきちんとした仕事に就けていないと、高齢者になってから、もらえる年金額も非常に低いということになります。そうすると、貯金を少しずつ取り崩していく。そして、どんどん不安になっていく。「貯金が減るのを止めたい」あるいは、貯金がなくなったところで犯罪に手を染めるということになるんでしょうね。ですから、刑務所に行く前に福祉にうまくつながっていない、あるいは、そこで非常に大きな不安を抱えていることがとても大きな問題だというふうに思います。
武田:高齢化した女性の孤立が、なぜ犯罪に結び付いてしまうんでしょうか?
浜井さん:「人に迷惑をかけてはいけない」と思う気持ちがあまりにも強すぎて、外に出ていかない、人に相談しない、うちにこもってしまう。うちにこもってしまうと、いろんな問題を抱えているところが見えない。認知症がどんどん進んでも誰も気がつかないという問題が起きてきて、それが初めて、いろんな意味で抱えきれなくなった問題が万引きという形で表れてしまうと。
村木さん:「人に迷惑をかけてはいけない」というのは、日本の社会をよく表した言葉だと思うんですが、もっと早くSOSを出していれば、病気と一緒で、早期発見・早期治療のほうが、ずっと早く治る。軽くて済むわけです。ところが、ずっと我慢をして、ギリギリのところまで追い詰められて、犯罪へいってしまうことがとても多い。SOSを出せるかどうかは、すごい大事だと思います。

介護・リハビリ…出所後の自立のために

出所後に高齢受刑者が自立して生活できるように、刑務所では、リハビリなどに力を入れるようになっています。
外部の理学療法士が個別の状態に応じ、マンツーマンで歩行訓練などのリハビリを行っています。
理学療法士
「だいぶ歩けるようになりましたね。」

服役中に歩けるようになった、この女性。本人もここまで回復するとは思っていませんでした。
受刑者
「絶対に何かにつかまらないと立てもしないし、歩けもしなかった。ずいぶん進歩しました。ここ(刑務所)がいいです。ありがたいです、本当に。」

さらに、65歳以上の元気な受刑者には、介護が必要のない状態を維持できるよう、介護予防のプログラムも用意されています。
参加している受刑者は、体調管理にもつながり、助かっているといいます。
取材班
「(受講は)何回目ですか?」
受刑者
「(プログラムの受講は)3回目です。楽しいです。」

一方、刑務所でも、介護の人手不足が深刻です。この刑務所では、元気な受刑者を介助係として養成し、人手不足を補っています。
職業訓練の一環として、介護福祉士の講座を学んでもらい、支えが必要な受刑者の身の回りの手伝いをしてもらおうというのです。
受刑者
「頭上げます。
大丈夫ですか、気分悪くないですか。」

受刑者は、介護を学ぶことで、出所後の就職活動にも役立つといいます。
受刑者
「自分でも介護の仕事があっていると思う。(出所後も)ずっと続けていきたい。」

笠松刑務所 駒井刑務官
「職員が困っているときに、手伝いますっていう収容者がいたり、訓練で勉強してきたことが役に立ってよかったですっていう収容者もいるので、それはありがたいなとは思います。」

すでに15人余りの受刑者が介護の戦力になっています。若い受刑者が減っている今、元気な高齢受刑者が介護を担う「老老介護」も広がっています。
笠松刑務所 細川隆夫所長(当時)
「どこに行くにも車イスの人がぞろぞろ出てきてしまうと、刑務所として、どう処遇していいのか難しい。健康な受刑者も活用、外部の専門家も活用、職員も一生懸命やることで、何とか持ちこたえていく。」

出所後の孤立を防ぐために 最前線では

出所後、身寄りがない元受刑者を支援するために、都道府県ごとに設置されているのが「地域生活定着支援センター」です。
刑務所を出たあと、家族や頼れる人がいない一人暮らしの高齢者や障害者をセンターのスタッフが支援。住まい探しや福祉サービスを受けるための手続きを手伝い、地域で暮らしていける環境を整えています。
愛知県にあるこのセンターでは、自宅にぬいぐるみがあふれていた田中さんの支援に乗り出すことになりました。自宅が住めない状態のため、センターが管理するアパートで、一時的に暮らすことになった田中さん。
ここにいられる半年の間に、住まい探しや介護サービスの手続きを終え、地域で暮らしていく準備をすることになっています。ここは自治体の補助金などを受けて運営され、食事の提供や見守りのサービスを受けることができます。センターでは、適切な支援を続ければ、一人暮らしの高齢女性の犯罪は減らせると考えています。
愛知県地域生活定着支援センター 岡部昭子所長
「高齢の女性が最終的に行き着く先が、本当に悲しくて、悲しみと不幸とに暮れていくのは忍びない。力はそれほどないけど、寄り添う支援はこの先もできたらいい。」

この日、センターのスタッフたちが、田中さんの85歳の誕生日会を開きました。
支援を受け、万引きをしなくてもいい落ち着いた暮らしを取り戻しつつあります。
「こういう風に誕生日祝ってもらうの、いつぶりですか?何年ぶり?」
田中さん
「20年ぶりぐらい。」

「20年ぶり。おめでとう。」
今後は介護サービスを受けながら、地域で自立した暮らしを目指すことになります。
田中さん
「おいしい。」

どうする?安心できる老後の居場所

武田:刑務所が介護施設そのもののように見えました。受刑者の「ここがいい、ありがたい」という言葉にはホッとするんですけれども、やはり違和感もありますよね。
村木さん:今見て分かるように、あれだけケアしてもらえば、「ここは何ていい所だろう」という気持ちにもなりますよね。確かに、健康を維持して介護度を減らす、あの努力はものすごく大事なんです。出所後、きちんと暮らしていくために。でも、当たり前ですけれど、あれを刑務所へ入る前にやっておきたかった。そういう意味では、介護とか生活保護とか、そういう福祉の施策につなげられていない今の刑務所の外の問題がよく見えてきたかなと思います。
浜井さん:日本の社会にあって刑務所にないものってなんだろうと考えたときに、そこにあるのは「孤立」だと思うんです。刑務所の中では、「孤立」あるいは「誰かから無視される」「誰にも気にされない」ということはないんです。犯罪の背景に社会的孤立があるということが先ほど出てきましたけれども、やはり「孤立」ですよね。誰も心配してくれる人がいないんです。そういう状況から逃れたくて刑務所に戻ってくる人たちがいる。これはある意味、日本社会の抱えている問題性を刑務所という所が表しているんだろうと思います。
武田:刑務所が罪を繰り返す高齢女性のついの住みかになってしまわないように支援する取り組みもご覧いただきましたが、村木さんはどうすればいいと考えますか?
村木さん:こういう言葉があるので、ちょっと見ていただきたいと思うんですが、「負の回転扉」という言葉です。周りが誰も面倒を見てくれない、気にかけてくれない。困窮したり、追い詰められて食べ物を盗んだりする。そして、刑務所に入る。懲役刑で刑期が終わったら、「ご苦労さま。もうあなたはきれいな体です」と言われて、そこから出される。門が閉まったその場所は、スゴロクの振り出しなんです。また最初の所へ戻っているだけ。これを「負の回転扉」。出たと思ったけれど、元の場所に戻っていて、また扉の前に立っていると。何とか、この扉を止めなきゃいけない。刑務所の中では、あれだけきっちりと世話をしてもらえるわけですから、そのことが刑務所を出たあともつながるように、刑務所の外でも福祉にちゃんとつながれるようにする。そうすると、ぐるっと戻ってこなくて済む。この「負の回転扉を止める」のが、非常に大事なことだと思います。

お年寄りを犯罪者にしないために…

万引きを繰り返す高齢者に、従来にない対応を始める現場もあります。大手スーパーのイオングループでは、認知症のお年寄りが1人で買い物に来た時、どう対応するのか、スタッフの訓練を進めています。
認知症の人が支払いを忘れてしまったり、レジを通さずに食べ物を食べてしまったりするトラブルが増えています。しかし、こうした事例に対し、犯罪として警察に通報するのではなく、家族や支援者に連絡するなど、福祉の視点も入れながら対応することにしています。
店員
「今までお店に認知症の方がたくさんいらしていたんですけれど、(認知症の)対応の仕方が分からなかった。気になるお客様には積極的に声をかけて、認知症の人にも楽しく買い物が出来るようにしていきたい。」

“おひとりさま”が安心して暮らせる社会へ

浜井さん:罪を犯した人たちは、私たちと全く同じ人間です。彼らを、仮に刑務所に入れても、必ず社会に戻ってくるんです。自分もいつ、ああなるか分からない。社会的に孤立してしまった時に、あるいは認知症になった時に、もしかしたら、そうなるかもしれないということに気が付いてもらって、自分の問題として、きちっと考えてもらうことが何よりも大切です。
村木さん:「刑務所から出てきた人たちにとって一番大事なことは何か」ということでよく言われるのは「居場所」と「出番」。味方がいて、自分が居づらくない場所があるということと、それだけではなくて、自分が少しでも誰かの役に立てるとか、誰かに感謝される、「ありがとう」と言ってもらえる場所が大事だと言われています。これは、定年退職したお父さんも同じ。だから、みんな同じだと思うんです。「居場所」と「出番」を作っていくことが大事だと思います。

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