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クローズアップ現代「川崎殺傷事件の衝撃 ~子どもの安全を守るために~」


テスト的にNHKサイト(クローズアップ現代)から部分コピーしたものです。

正しくはNHKオリジナルサイトにて閲覧ください。



2019年5月28日(火)
川崎殺傷事件の衝撃 ~子どもの安全を守るために~

川崎殺傷事件の衝撃 ~子どもの安全を守るために~

川崎市の路上で、スクールバスを待っていた小学生や大人が男に次々と包丁で刺された事件。男は両手に包丁を持って近づき、次々と襲う様子が目撃されている。登下校中の子どもが犠牲になる事件は過去にも相次いでいる。警察庁によると、13歳未満の子どもが通学路などで事件に巻き込まれたケースは去年全国で573件にのぼり、5月には新潟市で小学2年生の女の子が下校途中に殺害される事件も起きた。事件はどのようにしておきたのか、子どもの安全をどう守っていくか、最新情報を交え、専門家の知見を聞きながら深めていく。

出演者

  • 諸澤英道さん (常磐大学前理事長)
  • 宮田美恵子さん (日本こどもの安全教育総合研究所理事長)
  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター)
  • 栗原望 (アナウンサー)
  • 合原明子 (アナウンサー)

スクールバスを待つ小学生や大人に次々と…

カリタス学園 齋藤哲郎理事長
「本当に、このなんともいえない蛮行によって、落ち度のない子どもたちと、愛情深く子どもを育んできた保護者がこうした被害にあったことを、怒りのやり場もないぐらいの気持ちであり、痛恨の極みです。」

カリタス小学校 内藤貞子校長
「私は毎朝、学校の前で立っていますが、『おはよう』と声をかけたとき、(亡くなった)彼女は本当に笑顔いっぱいで『おはようございます』と返してくれるお子さんでした。本当に信じられません。今日も元気のいい挨拶が聞けるかなと思っていました。」

校内の防犯対策に万全を期してきたというこの学校。警備員による見回りや、保護者に対する名札携帯の徹底などを行ってきました。しかし、今回の事件は通学途中で起きました。事件当時、現場にいた教頭は、無言で襲いかかってきた容疑者になすすべもなかったといいます。
カリタス小学校 倭文覚教頭
「私は子どもたちの先頭におりまして、そこから6人ほどの児童をバスに乗せたとき、列の後方で子どもたちの叫び声が聞こえてきた。そのとき私の目の前に、犯人が両手に長い包丁らしき物を持って、無言で児童に刃物を振りながらバスの乗り場の方に走って行く姿を確認し、彼(容疑者)は何を話すでもなく叫び声をあげるでもなく、どなり散らしもせず、無言でした。だから子どもたちも気がつかない。大声をあげてやってきたら子どもたちも逃げることができたが、走りながら切りつけてくるやり方が、大勢の子どもたちを巻き添えにした。」

警察庁によると、通学路などで13歳未満の子どもが事件に巻き込まれたケースは、去年(2018年)、全国で573件に上っています。
平成13年に大阪教育大学附属池田小学校で、8人の児童が殺害された事件。これをきっかけに、学校の安全対策が進められてきました。その一方で、登下校中の安全をいかに守るかという課題が浮き彫りになってきているのです。
日本こどもの安全教育総合研究所 理事長 宮田美恵子さん
「決まった場所に、決まった時間に、子どもたちが十何人くる。狙う人にとっては狙いやすい。」

今回の事件は、なぜ起きたのか。そして、子どもたちの命を守るために私たちは何ができるのか。専門家とともに緊急検証していきます。

小学生や大人を次々と… 専門家が現場で注目したのは

事件を起こしたのは、川崎市に住む岩﨑隆一容疑者、51歳。この事件を検証するため、犯罪心理学が専門の桐生正幸さんが現場に向かいました。桐生さんが注目したのは、事件が起きた場所の特徴です。
合原
「人通りも多いですよね。そういう中で、こうした犯行が行われたというのは?」
東洋大学 教授 桐生正幸さん
「何気ない風景で車が通っていて、子どもたちがそこにいて、もう何か大きなことが起こるまでは、なかなか人はそれに気づかない。むしろそれが当たり前になってしまっている。ですから、日常生活の中で、このエリアというのは、ある意味、リスクの非常に高いエリアだったというふうに考えられるかもしれません。
実は人間の心理としまして、例えば人が多ければ多いほど、責任の分散というのが起きます。人が多ければ多いほど、無関心な状況を作ってしまうという心理的な状況があるんですね。」

現場は川崎市の住宅街の一角。駅からも近く、朝の時間帯は、通勤や通学で特に人通りの多い場所でした。さらに、近くには防犯カメラも設置されていました。
東洋大学 教授 桐生正幸さん
「通常、犯罪者というのは、リスク、つまり危険性と利益をてんびんにかけて犯行を行うわけですが、犯人は自分の姿が見られてもいいと。むしろ自分の犯行を達成するほうが、非常に自分にとっては有益だというふうに考えて、その時間帯を選んだというふうに考えていいんじゃないでしょうか。」

なぜ、人に見られてもいいと思ったのか。この点こそ事件の動機を読み解く鍵だと、桐生さんは指摘します。
近年起きた大量殺傷事件として桐生さんが挙げたのは、平成20年、秋葉原で起きた通り魔事件や、平成28年、相模原の障害者殺傷事件。いずれもあえて人目につく所で犯行に及ぶことで、社会に自分の主張を訴えるという意図があったといいます。
一方で、今回の事件は、犯行後、男はすぐに自分の首を刺して死亡。メッセージも見つかっていません。なぜ事件は起きたのか。現場を検証した桐生さんに、さらに聞きます。

小学生や大人を次々襲い… 専門家が読み解く事件

栗原
「現場には、犯罪心理学がご専門の桐生正幸さんにお越しいただいています。
まず私たちが立っているこの場所に、バス停があります。まさにここが現場なんですが、地元の方々に話を聞きますと、毎朝、子どもたちはこちらにきちんと列を成して並んでいたと。低学年の子どもたちが利用していたので、小さな子どもたちが並んでいる姿が目撃されていました。今回、保護者、そして子どもたちが犠牲になったわけですが、今回の犯行のねらいというのは、どんなものだったと見ていらっしゃいますか?」
東洋大学 教授 桐生正幸さん
「なんらかの動機を持って、この時間、この場所をまず選定して、ここに容疑者が入ってきた。たまたま居合わせた人が犠牲に遭ってしまったというふうな状況が考えられると思います。」
栗原
「そして子どもがいるスクールバスのバス停が狙われた、これはどういうことなんでしょうか?」
桐生正幸さん
「これは、いわゆる大量殺人の場合、できるかぎり短時間に多くの人を傷つけるという、『スプリー型』の犯行というのがあるんです。まさにそれを表すかのような状況ではないかと思っております。」

栗原
「この場所を狙っていたと?」
桐生正幸さん
「この場所を、まさに選択していたというふうに考えられると思います。」

栗原
「改めて、今回、この事件の特徴をどのように見てらっしゃいますか?」
桐生正幸さん
「実はこれまで大量殺人事件は、なんらかの自己アピール、社会に対するアピールといったものがあってそのような犯行があったんですが、どうも今回の事件は、そういったものがあまり見えてこない、なぜそのような犯行を行ったのかといったことが、やや分かりにくいという側面を持っている犯行ではないかと思います。そういった意味では、これまでになかったようなタイプの犯行が、また出てきてしまったのかという、ちょっと懸念を抱いております。」

専門家が読み解く事件 いったいなぜ?

ゲスト諸澤英道さん(常磐大学 元学長)
武田:スタジオでも議論を深めていきたいと思います。まずは犯罪学がご専門の諸澤英道さん。亡くなった方、そしてけがをした皆さんのことを思うと、胸が潰れるような思いがしますけれども、それだけではなくて、突然、事件に巻き込まれた子どもたちや居合わせた人たち、または家族の皆さんにとっても、今夜は本当に大きなショックの中で過ごすことになると思うんですね。皆さんのこと、どういうふうに思っていらっしゃいますか?
諸澤さん:私も犯罪に遭った被害者がどういうふうになっていくかということを30年、40年研究してきましたけれども、この事件を見て、今、この時間、夜の10時に、その現場にいたお子さんはもちろんだけれども、そのご家族の方や近くにいた通りかかった人も含めて、そういう方々が心の傷を負って、今どういう状態かということが、ものすごく気になります。
阪神・淡路大震災のとき、24年前に日本でもようやくPTSD(=心的外傷後ストレス障害)ということについての認識が広まってきて、見えている傷、血が出ていたり傷を負っていると誰にでも分かると。でも心の傷というのは、周りからは分からないんだというレベルから始まったと思うんですけれども。大事なのは、その事件直後、あるいはそれからしばらく、1か月、2か月ぐらいは続くわけですけれども、その状態の被害者、特に今回は子どもが多いわけですね。そういう人たちが、体が震えてしまってもう止まらない、それからものを飲めない、のどが渇いている、そしてこういう時間ですから、眠ることができないなどなど、夜中に失禁をする子どももいるでしょうし。そういう状態が今、多くの現場にいた人たち(の中)で起こっていると、そういうことについて思いを致さなければいけないし、そういう人たちがこれから1か月、2か月、3か月、場合によっては1年、2年、3年、どういうふうにしてそこから元の生活に戻っていくかということを、関係者がみんなで真剣に考えなければならない、そういう事件を私たちは今、突きつけられたような気がしますね。
武田:そしてスタジオ、社会部事件担当の渡邊デスクにも聞きます。ここまでの最新情報を聞きたいと思うんですけれども、まず亡くなったお2人について。
渡邊和明デスク(社会部):栗林華子さんは、カリタス小学校の6年生でした。先ほど、学校側が記者会見をしたんですけれども、その中で栗林さんの話を紹介され、その1つが先週、編入を希望している子どもを案内していた際、栗林さんが子どもの父親と母親に対して、外国語がたくさんできて、宿泊もたくさんできますと、この学校について笑顔で紹介していた、語っていたそうなんです。またこの件については、何もお願いはしていなかったんですけれども、たまたま休み時間に来て、来ている家族を見て、学校のいいところをいっぱい話してくれたそうです。
また小山智史さんですけども、子どもをカリタス学園に通わせていた保護者でした。今日(28日)は子どもを見送りに来ていて、事件に巻き込まれたと見ています。外務省の職員で、外務省に10人ほどいる、ミャンマー語の専門家の1人でした。平成25年には、ノーベル平和賞を受賞したアウン・サン・スー・チーさんが来日した際に、担当官として京都に同行していたこともある方です。
武田:そして、子どもたちを刺した男についてですが。
渡邊デスク:この男についても、先ほど警察が、岩﨑容疑者と確認されたと発表しています。小学生と中学生のときの同級生の話によりますと、岩﨑容疑者は、子どものころから怒りやすい性格だった、学校でトラブルを起こすこともあったということなんです。同級生は、その男が中学校卒業したあとの進学とか、生活の状況は知らなかったとしていますけれども、今回、事件に関わったと聞いても、特に驚くことはなかったと話していました。
武田:なぜ男がこんな事件を起こしたのか、諸澤さんはどうお考えですか?
諸澤さん:今回の事件は、めったにない事件なんですけれども、多くの通り魔事件や無差別殺傷事件というのは、先ほどもちょっと解説がありましたけども、なんらかのメッセージがあるんですね。何かをアピールしたいために目立つようなことをやるというケースが多いんですけれども、今回の事件は実はそうではなくて、本人が自殺しているので分かるように、死ぬ気でやっているんですね。これは結局、自分の人生をここで終止符を打ちたいと。その時に多くの人を道連れにしていきたいという思いでやっていると思います。(大阪教育大学附属)池田小学校の宅間守も若干それに近いんですけれども、そういう事件と、そうではなくて生き残ってアピールするという事件をしっかり分けて考えなければいけないし、この種の事件に対する対策というのは、実は今はこの予備軍がたくさんいるんじゃないかと考えられています。現にこの報道の在り方によっては、なんらかの悪い刺激を与えることもある。特に、この種の事件というのは、3、4、5、6月にかなり集中しております。世の中が春になって、浮き足立ってきた時期に、実は世の中をはかなんでということですね。自分の人生に絶望感を持って、そして最後にこういう派手なことをやって、命を絶っていくという、そういう一握りの人たちがいる。それに対する対策というのは真剣に考えないといけないと思いますね。
武田:学校の外で子どもたちの安全をどう守っていけばいいのか。現場での専門家との検証から見えてきたものは?

子どもの安全どう守る? 専門家が現場を検証

どうすれば子どもたちの安全を守ることができるのか。地域や学校における子どもの安全について研究を続ける、宮田美恵子さんです。先ほど、事件現場の周辺を歩いて、検証を行いました。宮田さんが指摘したのは、朝の登校時に潜む意外な危険性でした。
日本こどもの安全教育総合研究所 理事長 宮田美恵子さん
「普段から平日は決まった場所に、決まった時間に、子どもが十何人くる。子どもを狙おうとすれば、朝のほうが狙いやすい。」

今回、被害に遭った子どもたちの多くは、駅からバス停まで決まったルートを歩いて通っていました。
栗原
「事件が発生した通りから1本、線路側の道に来たのですが、子どもたちの朝の動きは、いつもどのようなものなのでしょうか?」
不動産会社 男性
「低学年の1・2年生とみられるお子さんが、10人から15人のグループでここを歩いています。」

栗原
「こちらが駅ですよね。駅のほう(手前)から、あちら(奥)の方に子どもたちが歩いていく。」
取材をもとにした子どもたちの通学ルートです。登戸駅に数十人が集合。車の少ない線路沿いの道を進み、バス停へ向かっていました。
バスを待つ間は、いつも行列ができていたといいます。そして、子どもの人数が最も多くなる時間帯も毎朝、決まっていました。
栗原
「いつもバスは何時に停まるんですか?」
住民
「私がゴミを出す7時半頃には並んでいますよ。ずっと並んで待ってるんですよ。30人か40人が乗ってね、乗れない子は次のバスを待っている。」

規則正しい登校であればあるほど、子どもの行動が予測しやすく、下校時よりも危険性が高いというのです。
日本こどもの安全教育総合研究所 理事長 宮田美恵子さん
「下校時は、一般の小学校はバラバラと学年ごとに下校になりますから、まとまっているかと言うとバラバラ帰るけれども、朝は決まった時間帯に、決まった道を通って子どもたちが移動しますから。」

実は、過去にも似た事件がありました。平成22年、茨城県で、学校に向かうバスで起きた事件。車内に男が乗り込み、刃物を振り回し、中学生や高校生ら14人がけがを負いました。この時も、時間は7時40分。場所も通学用のバス停と、今回と似通った条件で子どもたちが狙われました。

見守りを強化していたのに… 安全をどう守る?

登下校時の子どもたちの見守りは、どのように行われていたのか。事件が起きた川崎市では、いち早く防犯アプリを導入するなど、対策に力を入れていました。警察に届いた不審者情報などを保護者や学校関係者などに配信する仕組みです。ただ、今回は突然の事件を察知することはできず、危険を知らせる情報は配信されませんでした。
宮田さんは、ITツールの有効性は認めつつも、事前の予測には限界があると指摘します。
日本こどもの安全教育総合研究所 理事長 宮田美恵子さん
「事後のニュースになるので、これを見て保護者が駆けつけても、それが残念ながら事後になっている。」

前触れもなく起きる事件に対し、全国では人の目による直接の見守りも重視されてきました。
去年5月、新潟市の小学生が下校途中に殺害された事件。これを機に、国の指導の下、各地で通学路の安全点検を強化する動きが広がりました。
川崎市でも、警察のOBなどを中心としたボランティア、スクールガードリーダーを配置していました。事件が起きた地区でスクールガードリーダーを務める、秋田谷隆二さんです。
スクールガードリーダー 秋田谷隆二さん
「今回の事件もそうだし、車が突っ込んだり、小さい子を巻き添えにしすぎ。気持ちのもって行き場がない。」

スクールガードリーダーは、学校の防犯態勢を指導するほか、登下校中の見守りも行うボランティアです。国の方針では、小学校5校に1人の割合で配置することが目標とされています。ところが秋田谷さんは、1人で7校を担当。手帳にはぎっしりと巡回エリアが書き込まれていました。
秋田谷さんが担当するのは、川崎市内の7つの公立学校。事件が起きたバス停も、巡回エリアの1つでした。しかし、今月中旬、担当している別の場所で不審者情報があり、秋田谷さんは、そこを重点的に巡回していました。
スクールガードリーダー 秋田谷隆二さん
「全域をパトロールすれば一番いいのだが、そういう時間的な制限もあるし、事案の発生の多いところを選んでというか、そういう場所になる、どうしても。」

栗原
「こういう事件が起きたことについては?」
秋田谷隆二さん
「残念だ、すごく悲しい。力不足を感じる。」

日本こどもの安全教育総合研究所 理事長 宮田美恵子さん
「一般の方々には、もうこれ以上頼んでも、もう限界、無理です。いろんなことを頼み過ぎています、現在でも。ですから、ここからは防犯という専門性を持った、例えば警察官という制服を着た方が具体的に姿を見せてくれるだけでも、抑止力になりますね。これをやったら特効薬ということはありませんけれども、犯罪を起こさせないという観点で、できることはいくつかあると思うんですね。」

事件を受け、小学校は会見で今後の対策を強化すると語りました。
カリタス小学校 内藤貞子校長
「今後、登下校の教員による見守り態勢を強化いたします。また警備員も増員して強化をしていきます。」

対策を重ねても起きてしまう事件。どう子どもを守っていけばいいのか。
日本こどもの安全教育総合研究所 理事長 宮田美恵子さん
「今すぐできることがあります。」

その方法とは?スタジオで詳しく解説します。

子どもの安全をどう守る?いま何をすべき

ゲスト宮田美恵子さん(NPO日本こどもの安全教育総合研究所 理事長)
武田:現場で、本当にこういった事件に対処することの難しさもお感じになったということですけれども、まだできることがあると?
宮田さん:本当に今回の事件は、対策には難しさがあるというふうに思います。しかし、その中でできることを少しずつやはり進めていくということが必要ですね。
武田:そのポイントがこちらです。まず「朝も巡回を」。夕方だけではなくという意味ですね?
宮田さん:これまでやはり子どもたちが外で被害に遭うというと、下校時、例えば広島、奈良、栃木など、またこの前の新潟の事件もそうですが、下校時に多く起こっていましたので、やはり下校時間帯を中心に、パトロール活動などを地域で行ってきました。ですけれども、やはり朝の時間というのは、時間帯も経路も一緒なので、狙いやすさというのがあります。ですから、やはり朝にも、今あるパトロールを少しシフトしていくようなことができればいいなというふうに思います。
武田:そして「“見せる防犯”へ」というのはどういうことでしょうか?
宮田さん:それは今、地域の方々、一般市民の方々が本当に子どもに寄り添って見守りということをしてくださっています。これからはそれにプラスする形で、防犯の専門性を持っている警察官などが制服姿でもっと防犯ということを見せていくということができると、もっといいなというふうに思います。
武田:そして「抑止力のある時間・場所で子どもたちを行動させる」ということですが?
宮田さん:これは、朝の時間帯には見守り活動ですとか、パトロールなどの大人の対策が今あります。そこに子どもたちが、その時間に行くということで、安全が担保されますから、例えば寝坊して遅れてしまうと、そこに乗り遅れてしまいますので、家庭でもその時間にちゃんと登校できるように支援してほしい、そういうことです。
武田:子どもたちにしっかりと、自分の身を守れる時間帯や場所を教えるということですね。諸澤さんは、今回のような事件、どういうふうに防げばいいというふうにお考えですか?
諸澤さん:今、宮田さんがおっしゃったように、90何%のほとんどの事件では、大人たちの目が行き届いていれば、犯人がそれを避けて、別な場所へ移動してしまうということがある。そういう意味では、非常に防犯効果があるんですけれども、今回の事件は実はそうではなくて、もう堂々と白昼、多くの人の目の前で行っている。こういう一握りの犯罪者に対してどう対処するかというのは、これはちょっと目だけではなくて、もっと組織的に動かなければいけないし、万一、危険な状態になったら、体を張ってそれを守るような、そういう例えばセキュリティー関係の会社もいろいろありますけれども、そういう人たちを雇って、しっかり守ってもらうというようなこともやらなければいけないと思うんですね。
武田:宮田さん、今回はその地域の人たちが見守ってはいた、しかしその実力を行使できるような立場ではなかったということですよね。
宮田さん:やはり地域の方々は、本当に一般市民として子どもに寄り添ってくれるということが1つの大きな役割ですので、そういう中で子どもの安全というと「地域ぐるみ」という言葉で、ある意味まとめてきました。しかし、地域ぐるみという言葉は非常にあいまいなんです。ですので、もっと多くの人たちが、見守りしている人たちだけではなくて、当事者意識を持って、もっとみんなができることを、もっとやっていくということが大事です。
それから今回は、地域ぐるみというと、公立の子どもたちを見守るという視点になっていますけれども、今回は私立でもあったということで、地域の中で見守り方が縦割りになっている気がします。やはりそういう意味でも、地域ぐるみという言葉をむしろそっちに使って、この地域にある子どもたちをみんなで守る、そういう意味で使っていきたいと思います。
武田:今回も現場には、保護者の方がいらっしゃいました。
諸澤さん:そういう態勢は取られたけれども、事件は起きてしまう。
武田:保護者としてはどうしたらいいのかと思いますよね。
諸澤さん:これは国の問題であり、社会の問題であると思うんですね。この種の事件に対する対策というのは、個人レベルで対応はとてもできるわけじゃなくて、国はもっと真剣に議論していかなければいけないし、システムを作っていく、非常に安全性の高い社会を作っていくということをもっと真剣に考え、議論していかなければいけないなと思っています。
武田:先ほど宮田さんが、地域ぐるみという言葉では済まされないとおっしゃいましたが、より具体的に、こういった事件を、不測の事態を防ぐための仕組みを議論するということですね。
本当に保護者としては、子どもの命を守れないということに関してはつらいことだと思います。しっかり考えていかなければならないと思います。

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